風うごく 雲ながれる 光みちる 空ひろがる…… 詩人・長田弘が生みだした美しいことばの粒。かけがえのない一日一日の鮮やかさ。 絵本作家・荒井良二がかみしめ、味わって、一枚一枚の絵に描ききった珠玉の一冊。 (講談社BOOK倶楽部『空の絵本』内容紹介より)
あらすじ
雨が降り始めました。雨はだんだん強くなり、たたきつけるほど強くなります。
そして、いつしか雨は遠くなり、静かになって。
空はだんだん明るくなって。
やがて夕方になり、夜になり、美しい星空が広がります。
またたく星たちは、物語をつむぎだします。
おすすめポイント
心地よい詩のリズムと音が、表情ゆたかな空の絵に溶け込むような作品。読めば空を見上げたくなり、空を見上げれば読みたくなる。
晴れわたる空、雨が降る空、夕焼けの空、おもしろい形の雲がうかぶ空、夜の星空…。子どもの頃、いろんな空を見つけては、心を動かされていた。いつしか大人になって、子どもの頃ほど空に発見がなくなり、子どもの頃ほど空に心を動かさなくなってしまった。子どもの頃に置いてきた気持ちを思い起こさせてくれる。
いつでも、どこにいても、私たちの真上に当たり前のように広がっている空。朝が来て、夜が来て、また朝が来る。その普遍的な時の流れは、毎日同じことの連続のようだけど。夜明け、遅めの朝、正午、昼下がり、夕暮れ、夜…。時間によって移り変わる空の様子は、刻一刻と変化し、一時たりとも同じ空はない。毎日は当たり前の連続ではなく、かけがえのない1日1日の積み重ねなんだということを、あらためて感じさせられる。
1人のときも、だれかと一緒のときも、今日も明日も、空を見上げたくなる絵本。
雨の日もあれば必ず晴れの日もある、人生とも似ている。読む人によって、そのときの状況によって、いろいろに捉えられる絵本でもある。手元に置いて、ときどき読み返したい1冊。
大人へのプレゼントや、子どもの寝かしつけ時に読むのにもオススメ。
本の情報
『空の絵本』長田弘/作 荒井良二/絵 2011年 講談社 36p 24cm 読んでもらうなら5歳頃~ 自分で読むなら小学校低学年頃~
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